カンボジアのキャッシュレス事情:USDとQR決済が普及するお金の使い方
カンボジアのお金事情は、東南アジアの中でも非常にユニークです。米ドル(USD)と現地通貨リエルが日常的に併用されています。さらに、近年はスマートフォンを使ったQR決済も急速に普及しています。都市部では屋台からホテルまで幅広く対応し、キャッシュレス払いが可能になりました。本記事では、カンボジアのお金の仕組みと、実際の使い方を整理します。

USDとリエルが「両方」使われる国
カンボジアでは、米ドル(USD)と現地通貨リエル(KHR)が日常的に混在しています。家賃・不動産・ホテル代などはUSD建てが一般的です。一方で、屋台の食事・ローカル市場・少額の支払いにはリエルが使われることが多いです。
ドルで支払った際のおつりがリエルで返ってくることも珍しくありません。1ドル=約4,000リエルが目安のレートです。日本人にとっては最初は戸惑いがちです。しかし、慣れると「USDで大きな支払い、リエルで細かいおつり」という感覚で使い分けられます。
- 家賃・不動産・大型決済 → USD
- 屋台・ローカル市場・少額支払い → リエル(またはUSD)
- おつりはリエルで返ってくることが多い
KHQR:国家統一QRコードでキャッシュレスが一気に広がった
2022年、カンボジア国立銀行はKHQR(カンボジア統一QRコード規格)を導入しました。これにより、どの銀行・アプリのQRコードでも、ひとつの規格で決済できるようになりました。現在、KHQRは全国で数百万規模の加盟店・事業者が対応しています。例えば、トゥクトゥク・コンビニ・レストラン・市場の露店まで、スマートフォンをかざすだけで支払いが完結します。
KHQRの基盤となるのが「Bakong(バコン)」システムです。カンボジア国立銀行が開発したデジタル決済基盤で、異なる銀行・ウォレット間でのリアルタイム送金を可能にしています。つまり、異なるアプリを使っていても同じQRコードで支払えるのは、このBakongが裏側でつないでいるためです。
主要アプリ:ABA Pay・Wing・Bakong Tourist App
■ ABA Pay(エービーエー・ペイ)
外国人利用者が多い大手銀行のABA銀行が提供するアプリです。口座開設・残高管理・QR決済・送金がすべてスマートフォンで完結します。USDとリエルの両方に対応しており、外国人でも口座開設が可能です。そのため、プノンペンやシェムリアップに暮らす外国人の多くが利用しており、最もスタンダードな選択肢といえます。
■ Wing(ウィング)
地方を含む広いエリアで使われているモバイルウォレットです。銀行口座がなくてもアプリで送金・支払いができるため、銀行へのアクセスが限られる地方での利用に強みがあります。また、ABAアプリからWingへの送金も可能です。
■ Bakong Tourist App(外国人旅行者向け)
2024年にカンボジア国立銀行が外国人旅行者向けに提供を開始したアプリです。カンボジアの銀行口座がなくても、アプリをダウンロードして資金をチャージするだけでKHQRコードを使った決済ができます。短期旅行者や移住直後で口座開設前の方に特に便利です。
国際連携も進む:インド・タイとのクロスボーダー決済
カンボジアのQR決済は国内にとどまりません。2026年、インドのUPI(統一決済インターフェース)とKHQRの接続が始まりました。インド人旅行者がインドのアプリでカンボジアの加盟店に支払えるようになっています。さらに、タイ・ベトナムなど近隣国とのQR決済連携も段階的に拡大しています。東南アジア全体での「シームレスな決済圏」形成に向けた動きの一環です。
実際の使い方:現金とアプリの使い分け
| 場面 | おすすめ決済手段 |
|---|---|
| スーパー・コンビニ・カフェ | ABA Pay / KHQR |
| 屋台・ローカル市場 | 現金(USD・リエル)またはQR |
| トゥクトゥク・配車アプリ | アプリ内払い / QR |
| 家賃・大型支払い | USD現金 / 銀行振込 |
| 旅行者・口座開設前 | Bakong Tourist App |
まとめ
- カンボジアはUSDとリエルが共存する独特の通貨環境。1ドル=約4,000リエルが目安
- KHQR(国家統一QR)により、490万以上の加盟店でキャッシュレス決済が可能
- ABA Payが最もスタンダード。外国人でも口座開設でき、USD・リエル両対応
- 銀行口座なしで使えるBakong Tourist Appは旅行者・移住直後に便利
- インド・タイなど近隣国とのクロスボーダー決済連携も進行中
カンボジアは「現金社会」のイメージを急速に脱却しつつあります。スマートフォン1台あれば、日常の多くの支払いに対応できる環境が整っています。移住・ロングステイを検討する方は、渡航前にABAアプリの概要を把握しておきましょう。現地での生活立ち上げがスムーズになります。
