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カンボジア不動産の税金とコスト一覧

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カンボジア不動産の販売資料には、利回りの数字が示されることがあります。「想定利回り6〜8%」といった表現です。しかし、こうした数字を見るときには、その計算方法を確認することが重要です。「表面利回り」は、物件価格に対する年間賃料収入だけで計算します。空室、税金、管理費、修繕費などは反映されていません。そのため、実際に手元に残る金額から計算した利回りとは差が生じます。

では、カンボジアで不動産を購入・保有するとどうなるでしょうか。どのような税金や費用が発生するのでしょうか。

本記事では、購入時・保有時・売却時の3つに分けて整理します。あわせて、モデルケースを使って試算します。100,000ドルのコンドミニアムが例です。表面利回りと実際の手取りに近い利回りが、どの程度変わるのかを見ていきます。

全体像:3つのタイミングで整理する

まず、全体像を押さえましょう。カンボジアで不動産を取得・保有・売却するとします。主に次のような税金や費用が関係します。

タイミング主な税金主な諸費用
購入時所有権移転に対する印紙税(原則4%)弁護士・デューデリジェンス費用、登記関連費用、仲介費用など
保有時不動産税0.1%、賃貸収入に関する税、対象となる土地については未利用地税管理費、修繕費、賃貸管理手数料など
売却時キャピタルゲイン税20%(施行時期は要確認)仲介手数料、送金手数料など

ただし、税金はすべての取引に一律で同じ金額がかかるわけではありません。取り扱いが変わる場合があります。物件の種類や価格、購入時期、所有者の税務上の立場などによってです。

なお、印紙税の優遇措置が設けられることがあります。一定のボレイやコンドミニアム購入が対象です。実際の購入では、最新制度を確認することが重要です。

購入時にかかる税金と費用

■ 所有権移転に対する印紙税:原則4%

不動産の所有権を移転する際には、印紙税が課されます。税率は原則4%です。英語ではStamp Taxと呼ばれます。

ただし、「物件の売買価格にそのまま4%を掛ければよい」とは限りません。課税標準にはルールがあります。税務当局が定める評価額や、契約上の移転価額などに基づきます。そのため、実際の売買価格だけを使って税額を判断しないことが重要です。

また、実務上の負担者については契約内容を確認する必要があります。購入前に、誰が税金や登記関連費用を負担するのかを契約書で確認しておきましょう。

■ 住宅購入には優遇措置が設けられることがある

ここで注意したいのが、印紙税の優遇措置です。

カンボジアでは、不動産市場を支援する措置がとられてきました。印紙税を軽くする制度です。一定の条件を満たすボレイやコンドミニアムの購入が対象になります。

形としては、免税と、課税標準からの控除があります。ただし、対象となる価格帯や適用期限は制度改正によって変わります。

ただし、自動的に免税になるわけではありません。100,000ドル以下のコンドミニアムでも同じです。物件、デベロッパー、購入回数、移転時期などについて適用条件があります。

そのため、「物件価格×4%」を必ず計上するとは限りません。自分の取引が優遇措置の対象になるか、購入前に確認してください。

■ その他の諸費用

税金以外にも、取引内容によって次のような費用が発生します。

  • 弁護士・デューデリジェンス費用:権利関係の調査や契約書のレビューにかかります。タイトル、所有者、抵当権などが対象です。外国人が不動産を購入する場合は、専門家による確認が強く推奨されます。現地法に詳しい弁護士などです。
  • 登記関連費用:登記や所有権移転の手続きに関連して発生します。ストラタタイトルなどが対象です。
  • 仲介費用:中古物件などでは仲介会社が入る場合があります。誰が手数料を負担するかは取引条件によって異なります。
  • デベロッパー等に支払う費用:新築物件では費用が設定されている場合があります。登記や引き渡しなどに関連するものです。販売価格に何が含まれているのかを確認しましょう。

これらの費用は、物件や取引形態によって大きく異なります。「購入価格の○%」と一律に考えてはいけません。契約前に、税金や諸費用を含めた総額の見積もりを確認しましょう。

保有中にかかる税金と費用

■ 不動産税:年0.1%

不動産を保有している間には、毎年の不動産税があります。英語ではTax on Immovable Propertyと呼ばれます。一定の不動産が対象です。

税率は0.1%です。ただし、単純に購入価格へ0.1%を掛けるわけではありません。

課税標準は、不動産評価委員会が定める評価額を基礎に計算します。そこから1億リエル(約2.5万ドル相当)が控除されます。そのため、評価額によっては税額が発生しないケースもあります。

また、実際の税額は購入価格と一致するとは限りません。物件を検討する際には、確認するとよいでしょう。その物件にどの程度の不動産税が発生しているかです。

■ 賃貸収入に関する税金

不動産を賃貸する場合は、賃料収入に関する税金も考える必要があります。

カンボジアでは、個人の不動産賃貸収入について10%の税率が基本となります。一方、非居住者には14%の源泉税が適用される場合があります。カンボジア源泉所得が対象です。

日本に住みながらカンボジアの不動産を所有するとします。この場合、カンボジア税務上の非居住者に該当する可能性があります。すると、単純に「賃料の10%」だけを想定するのは適切ではありません。

また、実際の課税関係は条件によって変わります。所有者が個人か法人か。居住者か非居住者か。賃借人がどのような主体かなどによって異なります。

したがって、賃貸運用の収支を計算する際には確認が必要です。想定する所有形態に応じて、現地の税理士などに相談しましょう。

■ 未利用地税(Tax on Unused Land)

土地を検討する場合には、もう1つ制度があります。未利用地税です。英語ではTax on Unused Landと呼ばれます。

対象となる未利用地について、土地評価額を基礎に2%の税率が課されます。ただし、すべての土地に一律で課されるものではありません。

適用には条件があります。不動産税との関係や、どの土地が対象となるかという点です。そのため、土地投資を検討する場合は個別の確認が必要です。対象物件の税務上の扱いを調べてください。

なお、外国人本人はカンボジアの土地を自己名義で直接所有できません。外国人が土地に関わる場合には、別途の確認も必要です。土地所有規制についても調べておきましょう。

■ 管理費・修繕費・賃貸管理手数料

手取り利回りを考えるうえでは、税金以外の費用も重要です。

コンドミニアムの場合は、管理費が設定されるのが一般的です。共用部分の維持管理などに使われます。金額は物件によって異なります。プール、ジム、警備など、共用サービスの内容によっても差があります。

さらに、賃貸管理会社へ業務を委託する場合があります。入居者対応、家賃回収、契約更新などです。この場合、賃貸管理手数料が発生します。

海外から物件を管理する場合、委託は現実的な選択肢の一つです。現地の管理会社に任せる形になります。ただし、手数料率やサービス範囲は会社によって異なります。購入前に確認しましょう。

このほか、交換・修繕費も発生する可能性があります。エアコンや給湯設備、家具・家電などです。毎年同じ金額が発生するわけではありません。ただし、長期的な収支を計算する場合は予備費を見込んでおくとよいでしょう。

売却時にかかる税金

■ キャピタルゲイン税は施行時期の確認が必須

不動産を売却するときに確認したい税があります。キャピタルゲイン税です。英語ではCapital Gains Taxと呼ばれます。

カンボジアには、この税の制度が設けられています。キャピタルゲインに対して20%を課税するものです。ただし、不動産への適用については施行が繰り返し延期されてきました。

そのため、資料によって記載されている施行日が異なります。JETROは、省令第496号にもとづき2025年9月1日施行としています。一方、不動産への適用時期については別の説明も見られます。

したがって、以前の資料に記載されている施行日をそのまま前提にしないでください。実際に売却する際には、その時点の最新制度を確認してください。

■ 単純に「値上がり額×20%」とは限らない

キャピタルゲイン税を考える際には、税率だけでなく課税所得の計算方法も重要です。

不動産については、2つの方法が設けられています。取得費などの実際の費用を、証憑に基づいて控除する方法。もう1つが、一定の標準控除を利用する方法です。

そのため、次のような単純化はできません。売却価格から購入価格を引き、その金額に20%を掛ければ税額になる。こうした計算は成り立ちません。

証憑は、将来の売却に備えて保管しておくことが重要です。取得時の契約書、税金、登記関連書類、その他の費用に関するものです。

■ その他の売却コスト

売却時には、仲介会社を利用すれば仲介手数料が発生する場合があります。手数料率は仲介会社や契約内容によって異なります。

また、売却代金を海外へ送金するとします。この場合、銀行などの送金手数料や為替コストが発生する可能性があります。

売却価格だけを見てはいけません。税金や仲介費用、送金コストなどを差し引きます。最終的な受取額を確認することが重要です。

試算:表面利回り8.4%はどこまで下がる?

ここからは、具体的な数字を使って考えてみましょう。

プノンペンで100,000ドルのコンドミニアムを購入するとします。月額700ドルで賃貸するケースを仮定します。

※以下は簡易的なモデルケースです。表面利回りと実際の手取りとの差を理解するためのものです。実際の数字は一律ではありません。税率、管理費、賃貸管理費、不動産税、印紙税の優遇措置など。いずれも所有者の税務上の立場や物件、契約内容によって異なります。

まず、年間の満室時賃料は8,400ドルです。

■ 年間の収支を計算する

物件価格100,000ドルだけを分母にすると、表面利回りは8.4%になります。

項目金額(年間)今回の仮定
満室時の賃料収入+8,400ドル700ドル×12カ月
空室損▲840ドル稼働率90%と仮定
実収賃料7,560ドル空室損控除後
管理費▲1,080ドル60㎡×月1.5ドル×12カ月と仮定
賃貸管理手数料▲605ドル実収賃料の8%と仮定
賃貸収入に関する税▲1,058ドル非居住者への14%が適用されるケースを仮定
不動産税▲75ドル説明用の仮定値
修繕・予備費▲300ドル説明用の仮定値
年間手取り相当額約4,442ドル上記の仮定に基づく

このモデルでは、年間手取り相当額は約4,442ドルです。物件価格100,000ドルに対する金額です。

物件価格だけを分母にした場合でも、手取り相当の利回りは約4.4%となります。表面利回り8.4%とは大きな差があります。

ただし、これで終わりではありません。

■ 総投資額で計算し直す

本来は物件価格だけを分母にしません。購入時に実際に負担した税金や登記関連費用、弁護士費用などを加えます。この「総投資額」で考える必要があります。

例えば、総投資額が105,000ドルだったとします。諸費用を含めた金額です。同じ年間手取り相当額4,442ドルでも、利回りは約4.2%になります。

一方、初期費用が下がることもあります。印紙税の優遇措置が適用される場合です。その分、総投資額も変わります。したがって、この数字が常に当てはまるわけではありません。100,000ドルの物件でも、手取り利回りは変わります。必ず4.2%になるとは限りません。

重要なのは、計算し直すことです。物件資料に表示された表面利回りが出発点です。そこから、自分のケースに応じた空室、税金、管理費、修繕費などを差し引きます。そのうえで、実際の総投資額で割ります。

表面利回りだけでは判断できない

利回りを見るときには、数字の高さだけを見てはいけません。「何を分子・分母にして計算しているか」の確認が重要です。

例えば、「年間賃料÷物件価格」で計算した表面利回りです。ここには、空室期間も管理費も税金も反映されていません。

また、同じ表面利回り8%の物件でも差が出ます。管理費が高い物件と低い物件では手取りが変わります。空室期間や賃貸管理費、修繕費によっても結果は大きく変わります。

そのため、カンボジア不動産を比較するときは分けて考えましょう。「表面利回り」と「経費を差し引いた後の利回り」の2つです。

まとめ

  • 不動産の所有権移転には原則4%の印紙税がある。ただし、一定のボレイ・コンドミニアム購入には優遇措置が設けられることがある
  • 保有時の不動産税は、一定の課税標準に対して年0.1%。購入価格に単純に0.1%を掛けるわけではない
  • 賃貸収入に関する税務は、所有者の属性によって取り扱いが異なる。居住者か非居住者かで変わる
  • 対象となる土地には未利用地税が関係する場合がある
  • キャピタルゲイン税は20%。ただし施行時期は変更が重ねられており、取引前の確認が欠かせない
  • 表面利回りには空室、税金、管理費、修繕費などが反映されていない。そのため、実際の手取りとは大きな差が生じる場合がある

結局のところ、重要なのは1点です。「表示されている利回りをそのまま受け取らない」ことです。

■ 利回りを計算し直す4つの手順

まず、想定賃料が現実的なのかを確認します。そこから空室期間を考慮し、管理費、賃貸管理費、税金、修繕費などを差し引きます。さらに、分母も見直します。物件価格だけでなく、実際に支払った初期費用まで含めた総投資額で計算します。

この手順を踏めば、より現実に近い収支が見えてきます。販売資料に掲載された表面利回りだけでは見えない部分です。

 

■ 税制は変わる前提で確認する

なお、カンボジアの税制は変更されることがあります。とくに印紙税の優遇措置やキャピタルゲイン税は要注意です。購入・売却する時期によって、適用される制度が変わる可能性があります。実際の取引にあたっては、最新の取り扱いを確認してください。現地の税理士や弁護士などの専門家が相談先になります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。税務・法律・投資に関する個別の助言を提供するものではありません。税率や優遇措置、課税関係は一律ではありません。物件、契約内容、所有者の居住地・属性などによって異なる場合があります。実際の不動産取得、賃貸、売却にあたっては、最新の法令・運用をご確認ください。あわせて、カンボジアの税務・法律に詳しい専門家へご相談ください。

 

(参考:PwC Worldwide Tax Summaries「Cambodia – Other taxes」、同「Cambodia – Withholding taxes」、JETRO「カンボジア 税制」)

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