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ボレイとは|カンボジアの分譲住宅地と日本との3つの違い

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カンボジアの不動産情報には、「ボレイ」という言葉がよく出てきます。しかし、日本語で詳しく説明される機会はそれほど多くありません。

ボレイは、カンボジアの住宅市場を理解するうえで重要な存在です。とくに、国内の中間層や実際に住む人たちの住宅需要と結びつきが強い分野です。外国人投資家の動向だけでは見えにくい、市場の一面を知る手がかりになります。

近年のカンボジア住宅市場は、調整局面にあります。コンドミニアムも土地付き住宅も同様です。一方で、価格に敏感な国内実需や中間層向け住宅への需要は引き続き重要です。

そこで本記事では、ボレイとはどのような住宅なのかを整理します。日本の分譲住宅地との違いや、主な住宅タイプも見ていきます。あわせて、外国人がボレイに関わる際の注意点も解説します。

ボレイとは何か

■ 計画的に開発された住宅街

ボレイ(Borey)は、クメール語で「街」や「都市」を意味する言葉です。カンボジアの不動産市場では、計画住宅地を指す言葉として広く使われています。デベロッパーがまとまった土地を開発し、住宅を分譲する形です。

多くのボレイでは、住宅だけを造るわけではありません。敷地内道路や排水設備、共用スペースなども一体的に整備されます。塀やゲートを備えたゲーテッドコミュニティとして開発されるケースも多くあります。

規模はさまざまです。比較的小規模な住宅地もあれば、数百戸から数千戸規模の大型開発もあります。大規模なボレイでは、生活施設が併設されることもあります。敷地内または周辺の学校、商店、市場、公園などです。

■ 日本の分譲住宅地との3つの違い

ボレイは、日本の分譲住宅地と似た部分があります。一方で、カンボジアならではの特徴もあります。代表的な違いを3つ見ていきましょう。

  • ゲートや警備を備えるケースが多い:多くのボレイでは入口にゲートがあります。警備や敷地内管理も行われています。ただし、設備や管理水準は物件によって異なります。
  • 住宅地内のインフラを一体的に整備する:整備はデベロッパーが担います。敷地内道路や排水設備、共用施設などが対象です。電気・水道などの接続環境も含めて、住宅地を開発するケースがあります。
  • デベロッパー独自の分割払いがある:資金調達は銀行融資だけではありません。デベロッパー自身が分割払いプランを用意する場合があります。期間や頭金、金利、所有権移転のタイミングなどは物件によって異なります。

とくに、デベロッパーによる分割払いは一般的です。カンボジアの住宅市場でよく見られる仕組みの一つです。ただし、条件は開発会社やプロジェクトごとに大きく異なります。購入を検討する場合は、支払い条件だけを見てはいけません。土地や建物のタイトルがいつ移転されるのかも確認する必要があります。

ボレイの主な住宅タイプ

ボレイの中には、複数の住宅タイプが組み合わされていることがあります。比較的手頃な連棟住宅から、敷地の広いヴィラまで幅があります。同じプロジェクト内で複数の商品が販売されることも珍しくありません。

なお、住宅タイプの名称やグレード分けはデベロッパーによって異なります。

■ よく見られる5つのタイプ

以下は、カンボジアのボレイで比較的よく見られる分類です。

タイプ形状特徴
リンクハウス隣家と壁を共有する連棟式住宅中間層向けのボレイで広く見られる
ツインハウス2戸が対になった半独立型住宅リンクハウスより敷地や居住空間が広いことが多い
シングルヴィラ独立型の戸建住宅比較的高価格帯の商品として販売されることが多い
大型ヴィラ敷地の広い独立型住宅富裕層向けの上位商品として位置付けられることがある
ショップハウス1階を店舗、上階を住居として使える住宅住宅と事業用途を兼ねられる

■ 供給が多いのはリンクハウス

なかでもリンクハウスは、広く供給されている住宅タイプの一つです。カンボジアの新築住宅市場でよく見られます。中間層向けのボレイでも多く見られます。

ただし、供給量が多いからといって、必ずしも売却しやすいとは限りません。実際の流動性や資産価値は、条件によって大きく異なります。立地、価格、周辺供給、デベロッパーのブランド、管理状態などです。

■ 価格帯は必ず現地情報で確認する

また、価格帯もエリアや住宅タイプによって大きな差があります。実際に検討する場合は、まず販売情報を確認しましょう。現地の不動産ポータルやデベロッパーの情報が参考になります。そのうえで、同じエリアの類似物件と比較することが重要です。

なぜボレイが注目されるのか

■ 国内の住宅需要と結びついている

ボレイを理解するうえで重要なのが、購入者の構成です。ボレイは、カンボジア国内の居住者による実需と比較的結びつきが強い住宅形態です。

もちろん、すべてが自己居住目的というわけではありません。賃貸や転売など、投資目的の取引も存在します。ただし、一部のコンドミニアムとは需要構造が異なります。外国人投資家を主要な販売対象として開発されることが多かったためです。

近年のプノンペンのコンドミニアム市場でも変化が起きています。外国人投資家への依存から、シフトする動きが見られます。国内購入者や自己居住需要を重視する商品へという流れです。

つまり現在の住宅市場は、単純に「コンドミニアム対ボレイ」とは捉えられません。むしろ、需要の質を見ることが重要です。「誰が実際に住むために買っているのか」という視点です。

■ 住宅ローンや分割払いという選択肢

住宅取得を支える金融面にも特徴があります。現在のカンボジアでは、選択肢が複数あります。銀行による住宅融資に加え、デベロッパー独自の支払いプランも住宅購入の手段です。

分割払いの期間や金利、頭金などはプロジェクトによって異なります。そのため、月々の支払額だけで判断してはいけません。総支払額や所有権移転の条件まで確認する必要があります。

人口構成も住宅市場を見るうえで重要です。カンボジアは、生産年齢人口の割合が比較的高い国とされています。

これは、今後の住宅需要を考えるうえで重要な人口構造の一つといえます。ただし、人口が若いからといって自動的に住宅価格が上昇するわけではありません。所得水準や雇用、融資環境、住宅供給などもあわせて見る必要があります。

■ 土地付き住宅という特徴

ボレイとコンドミニアムの大きな違いの一つが、土地です。

一般的なボレイの住宅は、住宅が建つ土地と一体として取引されます。一方、コンドミニアムは仕組みが異なります。外国人が一定の条件のもとで、建物の専有部分を所有します。

プノンペンでは、新たな住宅開発が進む例があります。道路や橋などのインフラ整備によって、アクセスが改善した地域です。そのため、ボレイ市場を見る際にも確認が必要です。周辺道路や橋、商業施設などのインフラ計画は重要な項目になります。

ただし、「インフラができれば必ず不動産価格が上がる」とは限りません。総合的に判断する必要があります。供給量や人口動態、購入層の所得、周辺開発などを含めて見ましょう。

外国人はボレイにどう関われるか

外国人がボレイを検討する際には、土地所有のルールを理解しておく必要があります。

根拠は、カンボジア憲法第44条および2001年土地法第8条です。これにより、日本人を含む外国人はカンボジアの土地を直接所有できません。自己名義で持つことができないということです。

ボレイは通常、土地と住宅が一体となった不動産です。そのため、外国人本人が土地付き住宅を所有することは原則としてできません。自分自身の名義では持てないということです。

一方で、目的によっては次のような方法が検討されることがあります。

■ 要件を満たすクメール国籍法人を利用する

一定の要件を満たすカンボジア法人は土地を所有できます。

土地を所有できる法人には、クメール国籍が求められます。会社法第101条では、その要件が定められています。カンボジア国籍の個人または法人が保有者となります。議決権付き株式の51%以上を持つことが条件です。

ただし、注意が必要です。カンボジアで会社を設立すれば自動的に土地を所有できるわけではありません。また、法的リスクがある構造もあります。外国人の土地所有規制を形式的に回避するためだけの法人構造です。

法人を利用した土地保有を検討する場合は、専門家への確認が重要です。株主構成やガバナンス、土地取得の目的などが対象です。現地法に詳しい弁護士へ相談しましょう。

■ 長期リースを利用する

土地を所有する方法だけではありません。長期間利用する権利を、契約によって確保する方法もあります。

カンボジア民法には「永借」の制度があります。英語ではperpetual leaseと呼ばれます。対象は、15年を超える不動産の長期賃貸借です。永借の期間は最長50年です。更新することもできますが、更新後の期間も更新日から最長50年となります。

長期リースを利用する場合は、期間だけを見てはいけません。更新条件、途中解約、譲渡。さらに、建物の扱いや契約終了時の処理なども確認しましょう。

■ 開発事業などに参画する

外国人や外国法人が、不動産そのものを自己名義で所有しない形もあります。適法な事業スキームを通じて、住宅開発や運営などに関わるケースです。

ただし、これは個人が住宅を購入する方法とは性質が異なります。出資形態や契約内容、土地所有との関係などについて専門的な設計が必要です。

■ 名義借りには注意する

名義借りが話題になることがあります。外国人の土地所有制限を回避するため、カンボジア人の名義を借りる形です。つまり、土地を実質的に保有しようとするものです。

しかし、この方法には重大なリスクがあります。外国人の土地所有規制を回避する目的の名義借りは、法的にも実務的にも問題です。問題は名義人との関係悪化だけではありません。相続、第三者への売却、債権者による差押えなども生じる可能性があります。

土地付き不動産に関わる場合は、名義借りに依存しないでください。長期リースや適法な法人スキームなどを、専門家とともに検討しましょう。

ボレイは住宅市場を読む材料になる

外国人個人にとって、ボレイは必ずしも直接購入しやすい不動産ではありません。一方で、カンボジアの住宅市場を理解するための材料として見る価値があります。

どのエリアで新しいボレイが開発されているのか。どの価格帯の商品が増えているのか。リンクハウス、ヴィラ、ショップハウスのうち、どの商品が多く供給されているのか。

こうした情報は、手がかりになります。デベロッパーがどの地域に将来の住宅需要を見込んでいるのか。それを知る材料の一つです。

ただし、ボレイの供給が増えているからといって安心はできません。その地域への人口流入や不動産価格の上昇が保証されるわけではありません。あわせて確認する必要があります。実際の人口動態、販売状況、インフラ整備、周辺の住宅供給などです。

まとめ

  • ボレイは、デベロッパーが計画的に開発する土地付き住宅地を指す
  • ゲートや警備、敷地内道路、共用設備などを備えるケースが多い
  • リンクハウス、ツインハウス、ヴィラ、ショップハウスなど複数の住宅タイプがある
  • 国内の居住者による実需と比較的結びつきが強いが、投資目的の取引も存在する
  • 土地付き住宅のため、外国人本人が自己名義で直接所有することは原則できない
  • 外国人が関わる場合は、長期リースや要件を満たす法人などの方法が検討される

ボレイは、日本人投資家がそのまま自己名義で購入できる住宅ではありません。しかし、カンボジアの住宅市場を理解するうえでは重要な存在です。

■ 見るべきは「誰に向けた住宅か」

とくに注目したい点があります。「どこで、どの価格帯の住宅が、誰に向けて供給されているのか」という視点です。

コンドミニアムだけを見ていると、見落としが生じます。カンボジア国内の住宅需要を十分に把握できないことがあります。ボレイ市場もあわせて見ると、材料が増えます。国内の中間層や実需層が、どのエリアへ向かっているのかを考えられます。

ただし、不動産市場はエリアや価格帯によって状況が大きく異なります。ボレイの供給増加だけで判断してはいけません。人口流入や将来の資産価値は、それだけでは決まりません。販売状況、周辺インフラ、住宅供給、人口動態などを総合的に確認しましょう。

 

(参考:JETRO「外資に関する規制」、Realestate.com.kh)

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