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アンコールワット周辺401km²の計画が動く|シェムリアップで土地を買う前に

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シェムリアップで土地を買いたい。そう考える日本人投資家は少なくありません。アンコールワットを擁する観光地であり、長期的な需要が見込めるからです。ただしこの地域には、他の州にはない事情があります。遺跡の保護区域が広がっていることです。

その区域の土地利用計画について、2026年9月に新しい動きがありました。国土管理・都市計画・建設省が、114の村を対象とする計画案を公表し、協議を始めたのです。そこで本記事では、この計画案の中身を整理します。あわせて、この地域で土地を検討するときの注意点を確認します。

アンコールワット周辺の光景イメージ

401平方キロメートルを対象とする計画案

■ 3つのゾーン、114の村

計画案が提出されたのは2026年9月13日です。対象となるのは保護区域全体で、面積は401平方キロメートルにおよびます。

区域は3つのゾーンに分かれています。いずれもシェムリアップ州内です。

  • バンテアイ・スレイ ゾーン
  • 中央アンコール公園 ゾーン
  • ロリュオス ゾーン

この3ゾーンに、合計114の村が含まれます。なおゾーンごとの村数の内訳は公表されていません。

■ 根拠は1994年の王令

この計画の根拠となっているのは、1994年5月28日付の王令です。報道では「Royal Decree No. 001 នស」と記されています。

つまり保護区域の枠組み自体は、30年以上前から存在していたことになります。今回はその区域内の土地利用を、あらためて計画として整理する作業だと理解できます。

何を決めようとしているのか

■ 住宅・農地・厳格な保護区域の線引き

計画案の目的として報道が挙げているのは、次の3点です。

  • 住宅区域、農地、厳格に保護される遺産地域の境界を定めること
  • 土地保有の不確実性を解消すること
  • 違法な侵入を防ぐこと

注目したいのは2つ目です。土地保有の不確実性が課題として認識されている、ということを意味します。逆に言えば、現時点ではその不確実性が残っているということでもあります。

■ 協議の相手は3者

計画案は、関係者との協議にかけられています。相手として挙げられているのはAPSARA国立機構、地方の行政機関、そして区域内に長く住む地域住民です。

住民が協議の相手に含まれている点は見落とせません。つまり、現に人が住み、土地を使っている区域についての計画だということです。

投資家が押さえるべき3つの含意

■ 含意1:区域内の土地は扱いが特殊

まず大前提として、保護区域内の土地は通常の売買と同じようには扱えません。計画案が「厳格に保護される遺産地域」の設定に触れていることからも、それは読み取れます。

ただし、具体的にどのような建築制限がかかるのかは報道に記載がありません。したがって、制限の内容は個別に確認する必要があります。

■ 含意2:境界が変わる可能性がある

今回の計画案は、住宅区域と農地、保護区域の境界を定めるものです。つまり、いまの線引きが見直される可能性があります。

仮に住宅区域だと聞いて購入した土地が、計画の確定後に別の扱いになれば、想定していた使い方ができなくなります。計画が確定するまでは、この不確実性が残ると考えておくべきです。

■ 含意3:長期居住者の権利が絡む

協議の相手に長期の居住者が含まれているということは、その土地に既存の利用関係があるということです。売り手が提示する権利と、実際に住んでいる人の権利が食い違う場合もあり得ます。

そのため、この地域では権利関係の調査をとくに丁寧に行う必要があります。書類だけでなく、現地の状況まで確認することが欠かせません。

買う前に確認したいこと

■ その土地が保護区域の内か外か

最初に確認すべきは、対象の土地が401平方キロメートルの区域に含まれるかどうかです。含まれる場合、どのゾーンに属するのかも重要になります。

これは売り手の説明だけで判断せず、公的な資料で確かめてください。区域の境界は、地図上で明確に示されるべき情報です。

■ 権利証の種類と発行状況

次に、権利証の種類を確認します。カンボジアでは土地の権利証に複数の種類があり、安全性が異なります。

計画案が「土地保有の不確実性の解消」を目的に挙げている以上、この地域ではその確認がとくに重要になります。現地の弁護士に依頼して、登記の状況を調べてもらってください。

■ 計画の進み具合を追う

最後に、計画案はまだ協議の段階にあります。確定したものではありません。

そのため、確定の時期や最終的な区域の線引きは今後の公表を待つ必要があります。急ぐ理由がないのであれば、確定を見てから判断するのも1つの選択です。

まとめ

  • 2026年9月13日、国土管理・都市計画・建設省がアンコールワット遺産公園の土地利用計画案を提出した。報道は9月26日
  • 対象は401平方キロメートル、114の村。バンテアイ・スレイ、中央アンコール公園、ロリュオスの3ゾーンに分かれる
  • 目的は住宅区域・農地・厳格な保護区域の線引き、土地保有の不確実性の解消、違法な侵入の防止
  • 協議の相手はAPSARA国立機構、地方行政機関、長期の居住者。根拠は1994年5月28日付の王令
  • 具体的な建築制限の内容や、ゾーンごとの村数は公表されていない

■ 結局、いま何をすべきか

シェムリアップは観光地として知られ、土地への関心も高い地域です。——ただし、アンコールワットの保護区域は他の場所と同じ感覚では扱えません。計画案が「土地保有の不確実性」を課題に挙げている事実が、それを示しています。

そこで必要なのは、順番を守ることです。まず対象の土地が区域の内か外かを確かめる。次に権利証の種類と登記の状況を調べる。そのうえで、計画の確定を待つかどうかを判断する。この3段階を踏めば、不確実な部分を抱えたまま決断せずに済みます。

この地域の土地を検討するなら、現地の弁護士への相談は必須だと考えてください。区域の指定や権利の種類は、書類の読み方を誤ると判断を間違える領域です。

 

(参考:Construction & Property News)

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